経済波及効果は、このように実額で表示された状態の産業連関表ではなく、これを加工してできた「逆行列計数表」と呼ばれる計数表を用いて計算します。ある産業の需要が1増加した場合に、その需要を満たすために必要な生産量を示した係数を逆行列係数といいます。この逆行列係数を各産業について一覧表にしたものが逆行列係数表です。この表を使えば、ある産業がどの産業にどれだけの生産の波及効果を及ぼすのかが簡単に計算できます。
例えば、A県で工場の新設という最終需要が10億円生じた場合、その経済波及効果がどの位あるのか計算してみましょう(図参照)。実際の表にはさまざまな産業の逆行列計数が並んでいますが、ここでは説明を簡略化するために、建設業とその他の産業の2種類のみしかないとします。表のそれぞれの数値に最終需要額を乗じることで経済波及効果が求められます。計算の結果、経済波及効果は17億9500万円となります。