ビジュアル・ニュース解説

日本酒の国内需要減、高級化や輸出拡大に活路

2023.2.6 掲載
冬場は新米で仕込んだ日本酒の新酒が出回る時期です。日本酒は身近なお酒として愛されてきましたが、国内で需要減少が続く一方、海外への輸出は伸びています。今回は日本酒の製法や市場の現状などについて解説します。

1.普通酒のほか本醸造酒、純米酒、吟醸酒の特定名称酒も

1.普通酒のほか本醸造酒、純米酒、吟醸酒の特定名称酒も
 日本酒は酒造りに使われる酒米や水、麹(こうじ)菌、酵母菌などを原料にアルコール発酵させたものです。日本酒を造るにはまず玄米の外側のたんぱく質や脂質などを削って精米します。酒の味や香りを高めるためで、玄米を削った後に残った割合である精米歩合によって味わいと香りが変わります。精米が終わると、水洗いしてから水につけて吸水させた米を蒸します。温度を調整した麹室で、蒸した米に麹菌をふりかけて麹菌を繁殖させます。できた麹に蒸した米、酵母、水を加えて発酵させて酵母が増えた「酒母」をつくります。酒母をタンクに入れ、蒸し米、麹、水を3回に分けて加えて発酵を進めたものがもろみです。タンクの中では麹菌が米のでんぷんをブドウ糖に分解し、酵母がブドウ糖からアルコールを生み出します。この糖化と発酵が同時に起きるのが日本酒特有の醸造方法です。もろみを搾って酒かすを分離した後、小さな固形物を取り除きます。60~65度の低温で加熱処理して酵母の働きを止め、一定期間貯蔵して熟成。最後に水を加えてアルコール度数を調整し、瓶などに詰められます。
 日本酒は「特定名称酒」とそれ以外の「普通酒」に分けられます。特定名称酒には「本醸造酒」「純米酒」「吟醸酒」の3種類があり、精米歩合やサトウキビなどから作る醸造アルコール添加の有無などによって8種類に分けられます。本醸造酒は精米歩合が70%以下で、白米の重量の10%以下の醸造用アルコールを加えています。精米歩合が60%以下の本醸造酒は特別本醸造酒と呼ばれます。吟醸酒は醸造用アルコールを加え、精米歩合を60%以下にした米を5~10度の低温で30日以上の長期間発酵させた日本酒で、精米歩合が50%以下なら大吟醸酒と呼ばれます。純米酒は醸造用アルコールを加えない、まさに「純米」のお酒で、純米酒の吟醸酒が純米吟醸酒、純米酒の大吟醸酒が純米大吟醸酒です。
 吟醸酒は果物のような華やかな香りですっきりした味わい、滑らかな喉越しが特徴です。純米酒は米のうまみやコク、ふくよかな香りが楽しめます。本醸造酒は香りが控えめで、すっきりした辛口です。
2023年2月6日掲載