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花粉症とアレルギー疾患について知る

2018.2.19 掲載
いまや国民病ともいわれる花粉症。スギやヒノキの花粉だけでなく、ブタクサやヨモギ、イネ科の雑草なども花粉症の原因となり、春以外の季節も安心できません。花粉症をはじめとするアレルギー疾患の患者数は、気管支ぜんそくやアトピー性皮膚炎、食物アレルギーなども増えており、国を挙げた対応が急務となっています。今回はアレルギー疾患の発症の仕組みや患者が増えた背景、診断方法、治療法などについて解説します。

4.アレルギー疾患の患者は増加傾向に

4.アレルギー疾患の患者は増加傾向に
 国内のアレルギー疾患の患者は増加傾向にあります。原因ははっきりしませんが、アレルゲンが身の回りに多くなったことが理由の1つとして挙げられます。
 花粉症の患者が増えているのは、国内にスギやヒノキの人工林が多いことが大きな要因です。戦後復興に伴う木材需要の増加に対応するため、国が成長の早いスギやヒノキの植林を進めた結果、2012年3月末時点のスギの人工林の面積は448万ヘクタール、ヒノキは260万ヘクタールまで広がり、合わせると国内の森林面積の3割近くを占めます。その一方で、国産の木材需要の低迷と林業従事者の高齢化などにより伐採は進まず、花粉を多く飛ばす樹齢30年以上のスギやヒノキの林が多くなっているため、花粉の飛散量が増えているのです。
 ディーゼル自動車の排ガスに含まれる微粒子は気管支ぜんそくを起こす一因です。気密性が高いマンションはダニやカビが繁殖しやすく、これらに起因するアレルギー疾患の増加につながっていると考えられます。食生活の欧米化でアレルギー疾患の原因となる卵や牛乳を使った食品も増えています。このほか、生活環境の清潔度が高まったことで免疫のバランスが崩れ、アレルギー疾患の発症増加を招いたとの説もあります。
2018年2月19日掲載