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花粉症とアレルギー疾患について知る

2018.2.19 掲載
いまや国民病ともいわれる花粉症。スギやヒノキの花粉だけでなく、ブタクサやヨモギ、イネ科の雑草なども花粉症の原因となり、春以外の季節も安心できません。花粉症をはじめとするアレルギー疾患の患者数は、気管支ぜんそくやアトピー性皮膚炎、食物アレルギーなども増えており、国を挙げた対応が急務となっています。今回はアレルギー疾患の発症の仕組みや患者が増えた背景、診断方法、治療法などについて解説します。

5.対策の基本はアレルゲンの侵入防止

 アレルギー疾患が疑われる場合は医療機関で受診し、アレルゲンを特定することが重要です。花粉症なら、血液中にどのアレルゲンに反応する抗体がどれくらいの量あるのかを調べることで原因がわかります。花粉のエキスなどアレルゲンの疑いがある物質をばんそうこうで貼るなどして皮膚に接触させ、赤く盛り上がるかなどの反応を見る方法もあります。
 対策の基本は原因のアレルゲンを遠ざけ、体内に取り込まないようにすることです。花粉症の場合はメガネやマスクの着用、うがい、手洗いなどにより花粉の体内への侵入が防げます。発症したら、花粉症の季節に店頭に並ぶ目薬や鼻用スプレー、飲み薬などの市販薬を活用すれば、症状を緩和できます。花粉が飛ぶ前にアレルギーを抑える抗アレルギー剤などを服用すれば重症になるのを防ぐのに有効とされます。
 薬物療法は花粉症の発症を防げないため、最近は根治を目指す免疫療法が登場しています。その1つが「舌下免疫療法」です。花粉のエキスを毎日少量ずつ舌の下に垂らして口の粘膜から吸収し、体を花粉に慣れさせてアレルギーを抑えます。欧州で1980年代後半から始まった治療法で、日本では2014年に承認されて健康保険の適用対象になりました。同様の療法はダニによる通年性アレルギー性鼻炎やぜんそくでも用いられています。
2018年2月19日掲載