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花粉症とアレルギー疾患について知る

2018.2.19 掲載
いまや国民病ともいわれる花粉症。スギやヒノキの花粉だけでなく、ブタクサやヨモギ、イネ科の雑草なども花粉症の原因となり、春以外の季節も安心できません。花粉症をはじめとするアレルギー疾患の患者数は、気管支ぜんそくやアトピー性皮膚炎、食物アレルギーなども増えており、国を挙げた対応が急務となっています。今回はアレルギー疾患の発症の仕組みや患者が増えた背景、診断方法、治療法などについて解説します。

6.対策基本法が施行、対応を急ぐ政府や自治体

 花粉症のシーズンには対策商品や関連医薬品の需要が高まるものの経済効果は限られ、経済全体にはマイナスに働きます。花粉症の人たちが外出を手控え、小売りや外食、旅行などの業界の売り上げ減少につながるからです。花粉症の症状で労働効率が下がり、生産性が低下するとの試算もあります。
 花粉症をはじめとするアレルギー疾患の患者が増加傾向にあるため、政府や地方自治体は対策を強化しています。政府は花粉を出さないスギの開発・普及など抜本的な対策に取り組んでいるほか、15年には総合的なアレルギー疾患対策を推進するためアレルギー疾患対策基本法を施行。18年度から重症や難治性の患者を受け入れる拠点病院を全都道府県に整備するなど、全国どこででも適切な治療を受けられる環境づくりに着手しています。東京都は17年にアレルギー疾患に関する情報サイトを開設し、基礎知識や自己管理方法、緊急時の対応策などを紹介しています。埼玉県のように、林業振興の一環として花粉の量が少ないスギの品種改良に取り組む自治体もあります。
 アレルギー疾患は国民の2人に1人がかかっており、今は花粉症でなくても、花粉を吸い続ければやがて発症する可能性があります。日本気象協会は18年春の花粉飛散量が東北から近畿、四国地方までの広い範囲で前年を上回ると予測。一方、気象情報会社「ウェザーニューズ」は全国の飛散量が前年の75%と減少すると予想しています。いずれにしろ花粉症への備えを万全にして、春を快適に過ごしたいものです。
2018年2月19日掲載