ワインはブドウの果汁を主な原料として造る醸造酒です。アルコールは糖分が酵母の働きでアルコールと炭酸ガスに分解されるアルコール発酵によって生まれます。同じ醸造酒のビールや日本酒を造るには、原料の大麦や米に含まれるでんぷんを糖分に変える「糖化」という工程が必要ですが、ワインの原料のブドウは元から糖分を含むため、つぶして放置するだけでアルコール発酵してワインになります。ブドウ自体が変化してできるワインは、ブドウの品種や栽培する土壌の違い、産地の気候、収穫する年の気象条件などに左右されるブドウの出来具合がそのまま味に反映されやすいのが特徴です。
ワイン造りの歴史は古く、紀元前2000年ごろに書かれた「ギルガメシュ叙事詩」にはメソポタミアの王が船大工たちにワインを振る舞う場面の記述があります。古代エジプトのピラミッドの壁画にもブドウ栽培などが描かれていたほか、アルメニアでは約6100年前のワイン製造の遺構が発見されており、ワインは人類が親しんだ最古のお酒といえます。
ワインはその後、ローマ帝国の領土の拡大とともに欧州全域に広まり、イエス・キリストが「最後の晩さん」でワインを自分の血と言ったとされることから、キリスト教の浸透とともに人々の生活に根付きました。