古くからワインが造られてきた欧州ではフランスやイタリア、スペインが代表的な産地として知られ、世界中に愛好家を持つ高級ワインを生産しています。伝統を誇るワイン生産国だけでなく、欧州諸国が入植した米国やアルゼンチン、チリ、オーストラリア、南アフリカなどでもワイン造りが盛んです。これらの国々は「ニューワールド(新世界)」と呼ばれ、品質や生産量で欧州に引けをとらないワイン産地です。
日本国内のワイン生産は明治時代に始まりました。当初は需要も少なく、各地で細々と造られていました。生産が本格化し、一般に飲まれるようになったのは高度経済成長期の1960年代以降です。72年に最初のワインブームが起こったのに続き、78年には1000円前後のワインが、バブル経済まっただ中の87~90年にはボージョレ・ヌーボーや高級ワインがそれぞれ人気を集めました。赤ワインに含まれるポリフェノールの老化を防ぐ効果が注目された97年には赤ワインの一大ブームが起こり、国内のワイン市場は爆発的に拡大しました。2000年代以降、チリ産などの低価格ワインが輸入されるようになったことで、スーパーやコンビニエンスストアで気軽にワインを購入できるようになり、日常飲むお酒として定着しつつあります。国税庁によると、15年度のワインの出荷数量(国産と輸入の合計、課税ベース)は37万9196キロリットルで前の年度より2%増え、増加傾向が続いています。ただ、2000年代以降の国内市場の拡大をけん引しているのは主に輸入ワインで、この間の国産ワインの消費量の伸びは大きくありません。