ビジュアル・ニュース解説

菅政権が発足、衆院解散・総選挙迫る?

2020.10.19 掲載
安倍晋三首相が2020年9月に退陣し、菅義偉内閣が発足しました。菅氏の首相就任は衆院議員の任期が残り1年余りの時期で、菅内閣発足直後の内閣支持率が高かったことから、与党内では早期の衆院解散・総選挙への期待が高まっています。今回は衆院解散・総選挙とはどのように行われ、どのような意味があるのかなどについて解説します。

1.解散があるのは衆院だけで「首相の専権事項」

1.解散があるのは衆院だけで「首相の専権事項」
 国会には衆議院と参議院があり、衆院の定数は465人で任期は4年、参院は定数が248人で任期は6年です。衆院議員は全国の選挙区から1人ずつ選ばれた小選挙区選出の289人と、11ブロックの政党得票数に応じて選ばれた比例代表選出の176人からなり、参院議員は選挙区で選ばれた148人と比例代表で選ばれた100人で構成されます。衆院と参院の最も大きな違いは、衆院には解散がありますが、参院にはなく3年ごとに半数が改選されることです。
 衆院解散は憲法の7条で内閣の助言と承認による天皇の国事行為の1つとされ、69条では衆院で内閣不信任決議案が可決されるか、信任決議案が否決されたとき、内閣は10日以内に衆院を解散しない限り、総辞職しなければならないと定められています。天皇は国政に関する機能を持たないため、7条に基づく解散権は実態として、助言と承認をする内閣が持つとされ、ひいては「首相の専権事項」と解釈されます。
 衆院が解散するとすべての衆院議員が任期の満了前に資格を失い、40日以内に衆院選が行われます。衆院の全議員を一斉に選出するので総選挙とも呼ばれます。議院内閣制の日本は国会議員の中から国会の議決で首相を指名します。その際、衆院の議決が参院に優越するため、総選挙は事実上、有権者による政権選択の選挙になります。総選挙の投票日から30日以内に召集される特別国会で、衆参両院がそれぞれ本会議で記名投票を行い、投票総数の過半数を得た議員が首相に指名されます。過半数に達した議員がいなければ上位2人の決選投票で決めます。衆参で議決が異なった場合は両院議員総会で話し合い、それでも決まらなければ衆院の議決が優先されます。
最新のニュースは日経で!
日経が1週間無料で読める!トライアル実施中!