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菅政権が発足、衆院解散・総選挙迫る?

2020.10.19 掲載
安倍晋三首相が2020年9月に退陣し、菅義偉内閣が発足しました。菅氏の首相就任は衆院議員の任期が残り1年余りの時期で、菅内閣発足直後の内閣支持率が高かったことから、与党内では早期の衆院解散・総選挙への期待が高まっています。今回は衆院解散・総選挙とはどのように行われ、どのような意味があるのかなどについて解説します。

2.衆院の任期満了による総選挙は1回だけ

2.衆院の任期満了による総選挙は1回だけ
 総選挙は現憲法下で直近の2017年10月まで25回行われていますが、このうち任期満了で総選挙が行われたのは1976年12月の三木内閣の時だけで、それ以外はすべて衆院解散によるものです。憲法69条に基づき内閣不信任決議案が可決されて衆院が解散したのは第2次吉田茂内閣の時の48年12月、53年3月の第4次吉田内閣でのいわゆる「バカヤロー解散」、80年5月の大平正芳内閣の時、93年6月の宮沢喜一内閣の時の4回にとどまります。それ以外は憲法7条に基づく、その時の首相の意思による解散です。
 2020年9月の菅内閣発足を受けて、日本経済新聞社とテレビ東京が発足直後に実施した世論調査によると内閣支持率は74%で、記録が残る1987年以降の政権発足時の支持率としては過去3番目の高さでした。その他の報道各社の世論調査でも菅内閣の支持率は軒並み60%を超え、安倍前政権末期の調査結果と比べて大幅に上昇しました。この高い内閣支持率を受けて与党内では早期解散を求める声が上がっています。国民の内閣支持率が高いうちに衆院を解散して総選挙に持ち込み、選挙戦を有利に進めるのが狙いです。早いタイミングで解散すると、野党が準備する前に選挙戦が始まるため、与党が有利になることも背景にあります。
2020年10月19日掲載