ビジュアル・ニュース解説

菅政権が発足、衆院解散・総選挙迫る?

2020.10.19 掲載
安倍晋三首相が2020年9月に退陣し、菅義偉内閣が発足しました。菅氏の首相就任は衆院議員の任期が残り1年余りの時期で、菅内閣発足直後の内閣支持率が高かったことから、与党内では早期の衆院解散・総選挙への期待が高まっています。今回は衆院解散・総選挙とはどのように行われ、どのような意味があるのかなどについて解説します。

3.衆院議員の任期の残りが短く時間の制約も

3.衆院議員の任期の残りが短く時間の制約も
 現在の衆院議員の任期は前回の衆院選が投開票された2017年10月22日から4年後の21年10月21日までで、残る任期は1年余りしかありません。残る任期が1年前後の時期に就任し、解散総選挙に打って出た首相はこれまでに2人だけです。その1人の海部俊樹氏はクリーンなイメージを強調し、前の政権では10%台だった内閣支持率を37%まで回復させ、残る任期が5カ月の1990年1月に解散。議席を減らしながらも自民党の単独過半数を維持しました。もう1人の麻生太郎氏はリーマン・ショックへの対応を優先して2009年7月、任期が残り2カ月まで追い込まれて解散しましたが、麻生内閣の支持率が低迷していたこともあり、自民党は衆院第1党から転落して政権から下野しました。
 菅首相は就任直後の記者会見で、新型コロナウイルス対策や経済再生などの課題を挙げて「まずはここに専念したい」と表明する一方、「1年以内に衆院選がある。時間の制約も視野に入れながら考えていきたい」とも述べています。解散は内閣支持率や景気、野党の準備体制などの状況を見極める必要があるほか、国会や外交の日程も考慮に入れなければなりません。派閥に属しない菅首相は自民党総裁選で5派閥から支援を受けており、党内の求心力維持も解散に踏み切る条件となります。解散し総選挙で自民党が勝利すれば、「本格政権」も視野に入るため、菅首相がいつ解散を決断するかが政権の行方を左右しそうです。
最新のニュースは日経で!
日経が1週間無料で読める!トライアル実施中!