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将棋ブーム再び到来~プロ棋士について知る

2017.12.18 掲載
プロからアマチュアまで幅広く親しまれている将棋。2017年は史上最年少のプロ棋士、藤井聡太四段が公式戦29連勝の最多記録を達成したことなどをきっかけに、将棋ブームに沸きました。関連するグッズや書籍の売り上げが伸び、将棋をテーマにしたコミックや映画が話題を呼ぶなど、人気のすそ野は若者にまで広がっています。12月には羽生棋聖が史上初となる7大タイトルすべての永世称号を獲得する偉業を成し遂げました。今回は将棋の歴史とプロ棋士の世界について解説します。

4.年に4人しかプロ棋士になれない狭き門(1)

4.年に4人しかプロ棋士になれない狭き門(1)
 プロ棋士になるには日本将棋連盟のプロ棋士養成機関である新進棋士奨励会(関東奨励会・関西奨励会)に入会しなければなりません。入会資格は19歳以下で、プロ棋士の推薦があることで、その推薦者が師匠になります。奨励会には6級から三段まであり、対戦成績によって昇級・昇段し、四段からプロ棋士となります。
 プロになる最大の関門が三段リーグです。関東・関西合わせて30~40人が半年かけて1人18局のリーグ戦を戦い、上位2人が四段に昇段します。プロになれるのは1年間でわずか4人のみで、26歳までに四段に上がれないと強制的に退会となる厳しい世界です。
 たとえ未成年でも四段になればプロ棋士です。16年10月には藤井聡太三段(当時)が14歳2カ月でプロ棋士になり、加藤一二三(ひふみ)九段が持っていた14歳7カ月の最年少記録を62年ぶりに塗り替えて話題を集めました。
 四段以降の昇段は、名人戦の挑戦者を決めるリーグ戦「順位戦」の成績などで決まります。順位戦は名人を頂点にA級からC級2組まで5クラスあります。四段になるとまずC級2組に入り、クラスが上がれば順次昇段します。順位戦では年に1回、成績上位者のクラスが上がり、下位者は下がります。
 棋士はC級2組以上のクラスにいる限り、現役を続けられます。C級2組から落ちると、順位戦に参加できないフリークラスに入ります。クラスが落ちても一度得た段位は変わりませんが、フリークラスにはいられる年限や定年があります。当時77歳の加藤一二三・九段が17年1月、C級2組からフリークラスへの降級が決まり、定年規定により6月に前人未踏の63年の現役生活に終止符を打ったのは記憶に新しいところです。
 プロ棋士は将棋連盟が開催するすべての棋戦に出場でき、順位戦に参加すると将棋連盟から給料がもらえます。その金額は順位戦のクラスが上がるごとに増え、タイトル戦の対局料も勝ち上がるほど上がります。対局以外でもアマチュアへの指導対局や将棋教室の講師、テレビ解説などで収入があります。
 これまで女性が三段リーグを突破したことはなく、プロ棋士は男性しかいません。女性には通常とは別のプロ棋士制度があり、将棋連盟の研修会で一定の成績をおさめるとプロの「女流棋士」になれます。
2017年12月18日掲載