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将棋ブーム再び到来~プロ棋士について知る

2017.12.18 掲載
プロからアマチュアまで幅広く親しまれている将棋。2017年は史上最年少のプロ棋士、藤井聡太四段が公式戦29連勝の最多記録を達成したことなどをきっかけに、将棋ブームに沸きました。関連するグッズや書籍の売り上げが伸び、将棋をテーマにしたコミックや映画が話題を呼ぶなど、人気のすそ野は若者にまで広がっています。12月には羽生棋聖が史上初となる7大タイトルすべての永世称号を獲得する偉業を成し遂げました。今回は将棋の歴史とプロ棋士の世界について解説します。

1.古代インドのボードゲームが起源

1.古代インドのボードゲームが起源
 将棋の起源は古代インドの「チャトランガ」と呼ばれるボードゲームで、中国を経て日本に伝わり、独自の発展を遂げたとの説が有力です。起源が同じとされるボードゲームは西洋のチェスなど世界中にありますが、取った相手の駒を自分の駒として使えるのは将棋だけです。
 将棋がいつ頃から遊ばれていたかははっきりしませんが、奈良県の興福寺旧境内から将棋の駒と平安時代の「天喜6年」(1058年)と書かれた木簡が出土しています。初期の将棋は現在と同様の縦横9マス、駒数が計40枚のものだけでなく、マスや駒数がもっと多いものもありました。当初は公家や僧侶らがたしなむ遊びの域を出ませんでしたが、江戸時代には腕前を競う勝負事へと発展します。将棋指しは幕府公認のプロとなり、著名な将棋指しである家元には俸禄(ほうろく)が支給され、やがて「名人」の称号を名乗るようになります。その後、名人は大橋家、大橋分家、伊藤家の家元3家が世襲で名乗っていましたが、江戸幕府の崩壊に伴い家元制はなくなりました。
 名人の称号が現在の形になるのは昭和に入ってからです。1935年に実力で名人を選ぶ「名人戦」が始まり、37年に初代の実力制名人が誕生しました。この名人戦が現在の8大タイトル戦の皮切りです。ちなみに2017年現在の名人(第75期名人)は佐藤天彦(あまひこ)名人で、実力制の13代目となります。
2017年12月18日掲載