宅配便事業は現在、急増する荷物に配達員の増員が追いつかない状況が続いており、深刻な人手不足に直面しています。16年末には荷物が多過ぎてさばききれず、配達の遅れが目立ちました。配達員の長時間労働が常態化し、現場はパンク状態に陥っています。
宅配便の荷物増加の背景にあるのはネット通販の急拡大です。ネット通販の市場規模は15年時点で年間13兆8000億円と、5年間で8割も増えました。荷物の増加に対応するには配達員の数を増やしたり、配達の一部を外部に委託したりする必要があります。しかし、人手不足の下での人材の争奪戦は激しく、人件費が高騰し、外部委託のコストも上昇しています。
この影響が特に大きいのが業界最大手のヤマトで、ネット通販首位のアマゾンジャパン(東京・目黒)の配送を引き受けているため人手不足が顕著です。輸送する荷物が増えても運賃の単価は下がっています。16年3月期は1個当たり578円と前の年度と比べ3%近く値下がりしました。大口顧客向けに割引をしているため、単価が上がらないのです。人件費の高騰と外部委託費の増加に単価の低迷が加わり、事業者の業績を圧迫しています。