ビジュアル・ニュース解説

コンピューターウイルス、標的型や金銭を要求するタイプが急増中

2016.11.7 掲載
コンピューターウイルスによるサイバー攻撃が後を絶ちません。以前はウイルスを仕込んだメールを不特定多数に送る方法が主流でしたが、最近は特定の企業や組織を狙った「標的型メール攻撃」が急増。パソコンだけでなく、スマートフォン(スマホ)やタブレット(多機能携帯端末)を使えなくして、元の状態に戻す条件として金銭を要求する新型ウイルスも広がっています。今回はコンピューターウイルスの基礎知識や最近の被害例、個人ができる防衛策、企業・政府の対策などについて解説します。

6.急がれる情報セキュリティーの専門家育成(2)

 国全体の対策ではサイバー攻撃などに対処できる情報セキュリティーの専門家育成が急務です。国内の情報処理技術者はこれまでIT(情報技術)企業のシステムエンジニアやプログラマーが中心でしたが、近年は標的型メール攻撃などに対応できる専門家の需要が高まっています。総務省は17年度に専門家の育成やサイバー攻撃の演習をする拠点を設け、サイバー防衛に精通した若者を毎年100人ずつ育成する計画です。
 20年の東京五輪開催を控え、政府機関や企業を狙うサイバー攻撃はさらに増える恐れがあります。今後、家電や自動車、工場の生産設備など、あらゆるモノがインターネットにつながるIoT(インターネット・オブ・シングス)が普及すれば、産業活動や社会生活へのウイルス被害の拡大が懸念されます。政府や企業に情報セキュリティー対策の一層の強化が求められるだけでなく、私たち一人ひとりも情報漏洩に対して危機意識を持つことが欠かせません。
2016年11月7日掲載