ビジュアル・ニュース解説

コンピューターウイルス、標的型や金銭を要求するタイプが急増中

2016.11.7 掲載
コンピューターウイルスによるサイバー攻撃が後を絶ちません。以前はウイルスを仕込んだメールを不特定多数に送る方法が主流でしたが、最近は特定の企業や組織を狙った「標的型メール攻撃」が急増。パソコンだけでなく、スマートフォン(スマホ)やタブレット(多機能携帯端末)を使えなくして、元の状態に戻す条件として金銭を要求する新型ウイルスも広がっています。今回はコンピューターウイルスの基礎知識や最近の被害例、個人ができる防衛策、企業・政府の対策などについて解説します。

5.急がれる情報セキュリティーの専門家育成(1)

5.急がれる情報セキュリティーの専門家育成(1)
 次々に新型が現れるウイルスの感染を完全に防ぐ方法はありませんが、リスクを避けるためにはできる限り対策を講じるべきです。個人がとれる有効な対策はコンピューターやスマホなどにウイルス対策ソフトやアプリを導入することです。ウイルス対策ソフトは外部とやり取りするデータに異常がないかを常にチェックして感染を未然に防ぐとともに、感染した場合は危険性を知らせ、端末からウイルスを除去します。
 同時にウイルス対策ソフトを含む、パソコン内の各種ソフトを常に最新にアップデートすることも重要です。このほか、交流サイト(SNS)で紹介されているアドレスを不用意にクリックしない、怪しいファイルをダウンロードしない、心当たりのない送り主からのメールは開封しないなど、ウイルス感染を避けるための基本行動の徹底も大切です。
 企業の対策はまずウイルスが自社のネットワークシステム内に入ってこないよう「入り口」の防御を固めることが大前提です。社内の情報ネットワークと外部のインターネットとのやり取りを特殊なソフトや機器によって制御し、第三者による不正なアクセスやウイルスの侵入を防御する「ファイアウオール」の構築が必須です。
 最近は「サンドボックス」と呼ばれる仕組みも普及しつつあります。社員のパソコンにメールを配信する前に、社内のコンピューターシステムから隔離されたサーバーでメールを開封してウイルスが紛れ込んでいないかを調べるものです。
2016年11月7日掲載