ビジュアル・ニュース解説

台風発生の仕組みや防災対策を知る

2016.9.5 掲載
主に夏の終わりから秋にかけて日本にやってくる台風。大型の台風が上陸すると、強風や大雨によって洪水や土砂災害などが起き、時には私たちの命や社会生活を脅かします。今回は台風発生の仕組みや台風がもたらす被害、政府・自治体の対策、身を守るための心構えなどについて解説します。

5.伊勢湾台風を機に防災対策が進む

 伊勢湾台風の被害が大きかったのは、台風が大型で被災地が高潮の遡上しやすい地形だったことのほか、行政の防災対策や住民の台風災害への備えが不十分だったことも要因でした。伊勢湾台風をきっかけに、災害対策は大きく進みました。国や自治体などが必要な防災体制を整え、防災計画の作成や災害予防、復旧など災害対策の基本を定めた災害対策基本法が1961年(昭和36年)に公布されました。同時に全国各地で伊勢湾台風を基準に防潮堤や堤防の建設が進められ、川をせき止めるダムの建設や、河川の氾濫を防ぐ堤防の補強などの治水対策も強化されました。
 この結果、多数の死者を出す自然災害は大幅に減りました。ただ、こうした対策にもかかわらず、最近は過去に例を見ない豪雨被害が相次いで発生しており、2015年には台風18号の影響による関東・東北地方の大雨で、茨城県常総市の鬼怒川の堤防が決壊し多くの死者や行方不明者が出ています。
 地球温暖化の台風への影響を懸念する声がありますが、ここ30年間は台風の発生件数に大きな変化はなく、温暖化と台風発生の因果関係は認められません。ただ、台風の規模は大きくなってきているとの指摘もあります。
2016年9月5日掲載