伊勢湾台風の被害が大きかったのは、台風が大型で被災地が高潮の遡上しやすい地形だったことのほか、行政の防災対策や住民の台風災害への備えが不十分だったことも要因でした。伊勢湾台風をきっかけに、災害対策は大きく進みました。国や自治体などが必要な防災体制を整え、防災計画の作成や災害予防、復旧など災害対策の基本を定めた災害対策基本法が1961年(昭和36年)に公布されました。同時に全国各地で伊勢湾台風を基準に防潮堤や堤防の建設が進められ、川をせき止めるダムの建設や、河川の氾濫を防ぐ堤防の補強などの治水対策も強化されました。
この結果、多数の死者を出す自然災害は大幅に減りました。ただ、こうした対策にもかかわらず、最近は過去に例を見ない豪雨被害が相次いで発生しており、2015年には台風18号の影響による関東・東北地方の大雨で、茨城県常総市の鬼怒川の堤防が決壊し多くの死者や行方不明者が出ています。
地球温暖化の台風への影響を懸念する声がありますが、ここ30年間は台風の発生件数に大きな変化はなく、温暖化と台風発生の因果関係は認められません。ただ、台風の規模は大きくなってきているとの指摘もあります。