ビジュアル・ニュース解説

台風発生の仕組みや防災対策を知る

2016.9.5 掲載
主に夏の終わりから秋にかけて日本にやってくる台風。大型の台風が上陸すると、強風や大雨によって洪水や土砂災害などが起き、時には私たちの命や社会生活を脅かします。今回は台風発生の仕組みや台風がもたらす被害、政府・自治体の対策、身を守るための心構えなどについて解説します。

1.南の海上の熱帯低気圧が発達して発生

1.南の海上の熱帯低気圧が発達して発生
 台風は日本の南の熱帯の海上で生まれます。海水温が高く、日差しが強い熱帯の海上では多量の水蒸気が発生し、暖められた水蒸気は周りの空気より軽いため上昇します。この水蒸気がつくる上昇気流が上空で冷やされると、水や氷に変わって雲ができます。このときに熱を放出して周囲の空気を暖め、上昇気流はさらに勢いを増します。
 暖められた空気は軽いので、周辺より気圧は低くなります。空気は気圧の高い方から低い方に流れるため、周りの海面上から水蒸気を含む空気が流れ込みます。流れ込んだ空気は地球の自転の影響で生じる力により、中心に向かって反時計回りに渦を巻きます。この繰り返しで渦は大きくなり、強い風雨を伴う熱帯低気圧になります。台風は北西太平洋や南シナ海で生まれた熱帯低気圧のうち、中心付近の最大風速がおよそ毎秒17メートル以上に発達したものです。
 台風のエネルギー源は暖かい海から供給される水蒸気です。このため、台風は北上して接する海水温が低くなるにつれて勢いが弱まり、やがて熱帯低気圧や温帯低気圧となって消滅します。
 台風のような強い熱帯低気圧は発生する海域によって呼称が異なります。大西洋や北東・北中部太平洋で発生するものは「ハリケーン」、インド洋や南太平洋なら「サイクロン」と呼ばれます。

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