ビジュアル・ニュース解説

発色の仕組みや歴史、大会の経済効果――花火について知ろう

2016.8.1 掲載
夏を実感させる花火大会。夏の夜に花火を鑑賞する文化は江戸時代に花開き、今は全国各地で数多くの花火大会が開かれています。一時は景気低迷の影響で開催中止や規模縮小が相次ぎましたが、近年は地域活性化につながる観光資源としてあらためて注目を集めています。今回は花火の仕組みや歴史、花火産業の市場規模、花火大会の近年の傾向などを紹介します。

2.金属の炎色反応を利用した多彩な発色(2)

2.金属の炎色反応を利用した多彩な発色(2)
 打ち上げられた花火の色が時間とともに変わるのは、花火玉の構造に秘密があります。花火玉の中には炎色反応を示す金属を火薬に混ぜ固めた「星(ほし)」と呼ぶ玉が入っています。緑、赤、黄など色を出す金属を星の外側から内側に向かって入れておくと、星は外側から順に燃えていって色が変わります。花火玉には割薬(わりやく)という星を勢いよく飛ばすための火薬も入っており、割薬と星の詰め方を変えれば様々な形の花火を打ち上げられます。
 花火の原理は単純ですが、夜空にきれいな「花」を開かせるのは並大抵の技術ではありません。玉の皮の厚さが均一でなければ開き方がいびつになり、割薬が強すぎると全部の星に着火せず、歯が抜けたようになります。人間の目に残る光の残像も計算し、0.1秒単位で色の変化を調節しなければなりません。夜空を見事に彩れるかは「花火師」と呼ばれる職人の腕の見せどころです。近年はコンピューター制御の普及によって複雑な組み合わせの連続花火作りが容易になり、音楽やレーザー光線との連動など趣向を凝らしたものが登場しています。
2016年8月1日掲載