ビジュアル・ニュース解説

発色の仕組みや歴史、大会の経済効果――花火について知ろう

2016.8.1 掲載
夏を実感させる花火大会。夏の夜に花火を鑑賞する文化は江戸時代に花開き、今は全国各地で数多くの花火大会が開かれています。一時は景気低迷の影響で開催中止や規模縮小が相次ぎましたが、近年は地域活性化につながる観光資源としてあらためて注目を集めています。今回は花火の仕組みや歴史、花火産業の市場規模、花火大会の近年の傾向などを紹介します。

5.花火の市場規模は200億円、町おこしの起爆剤としても注目(2)

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 花火大会の多くは地方自治体を中心とする実行委員会が主催しています。開催費の大半を自治体が負担し、地元企業から協賛金を募ります。隅田川花火大会のようにテレビの放映権料で費用の一部をまかなう例もあります。08年秋のリーマン・ショック後は、自治体の財政難や企業からの協賛金不足で花火大会の中止が相次ぎました。
 しかし最近では一定額の協賛金を出した市民に特別な見物席を提供するなど、予算確保と運営に工夫をこらす自治体が増えています。花火大会を地域振興につなげる取り組みも目立ちます。来場者数が100万人を超える国内有数の花火大会の一つである新潟県長岡市の「長岡まつり大花火大会」は15年度から、有料観覧席を「ふるさと納税」の返礼品としました。全国から幅広く寄付金を集められるうえ、遠方からの来場者が大幅に増えることで宿泊や飲食拡大による経済効果が期待できるためです。
 花火大会を夏季だけから通年にする動きもあります。全国の一流の花火師が腕を競う「大曲の花火」(全国花火競技大会)で知られる秋田県大仙市では年間を通じて花火大会を毎月開催。神奈川県藤沢市の江の島や長野市のように、秋に花火大会を開いた例もあります。 
 花火大会は体験などを求める訪日外国人の「コト消費」を取り込む観光資源として期待されています。その魅力を国内外にいかにうまく発信し、地方経済が大輪の花を咲かせられるか注目されます。
2016年8月1日掲載