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ノーベル賞はどのように決まる?~選考の仕方や日本の研究環境の課題を知る

2015.12.7 掲載
2015年のノーベル生理学・医学賞は北里大学の大村智特別栄誉教授らに、物理学賞は東京大学の梶田隆章宇宙線研究所長らにそれぞれ授与されることが決まりました。2000年以降、日本人の自然科学部門の受賞者は米国籍の2人を含め16人で、米国に次ぐ多さです。ただ、日本の科学技術力の高さを今後も世界に示していくためには課題もあります。今回はノーベル賞とはどんな賞なのか、その選考の方法、日本の研究環境の課題などについて解説します。

4.受賞の継続に欠かせぬ魅力的な研究環境の整備(1)

4.受賞の継続に欠かせぬ魅力的な研究環境の整備(1)
 カロリンスカ研究所は15年10月、同年のノーベル生理学・医学賞を北里大学の大村智特別栄誉教授と米ドリュー大学のウィリアム・キャンベル名誉研究フェロー、中国中医科学院の屠呦呦(ト・ユウユウ)終身研究員兼首席研究員の3氏に贈ると発表しました。同研究所は授賞理由として「寄生虫による感染症の治療を根本的に変えた」と説明。大村氏とキャンベル氏はアフリカなどの風土病で、感染者の2割が失明するといわれるオンコセルカ症(河川盲目症)や、足などが肥大して歩けなくなるリンパ系フィラリア症(象皮症)、屠氏はマラリアの画期的な治療薬をそれぞれ開発したことが評価され、受賞しました。
 これに続きスウェーデン王立科学アカデミーは同月、15年のノーベル物理学賞を東京大学宇宙線研究所長の梶田隆章氏とカナダ・クイーンズ大学名誉教授のアーサー・マクドナルド氏の両氏に授与すると発表しました。梶田氏は物質の最小単位である素粒子の一つ、ニュートリノに重さ(質量)があることを初めて確認。これまでの素粒子物理学の常識を覆し、宇宙や物質が誕生した謎の解明に迫る業績が評価されました。
2015年12月7日掲載