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ノーベル賞はどのように決まる?~選考の仕方や日本の研究環境の課題を知る

2015.12.7 掲載
2015年のノーベル生理学・医学賞は北里大学の大村智特別栄誉教授らに、物理学賞は東京大学の梶田隆章宇宙線研究所長らにそれぞれ授与されることが決まりました。2000年以降、日本人の自然科学部門の受賞者は米国籍の2人を含め16人で、米国に次ぐ多さです。ただ、日本の科学技術力の高さを今後も世界に示していくためには課題もあります。今回はノーベル賞とはどんな賞なのか、その選考の方法、日本の研究環境の課題などについて解説します。

2.ノーベル財団など6団体・組織が運営・選考

 ノーベル賞を運営するのはスウェーデンのストックホルムに本部がある「ノーベル財団」です。ノーベルの遺言に基づき、1901年にその莫大な遺産を基金としてノーベル賞が創設されました。ノーベル財団は基金を株式や国債、不動産などで運用し、賞金や運営費用を確保することが主な役割で、賞の選考には関わりません。経済学賞の賞金だけはスウェーデン国立銀行が用意します。
 受賞者を選考するのは、物理学、化学、経済学の各賞がスウェーデンで最高の権威を持つ学術機関「スウェーデン王立科学アカデミー」、生理学・医学賞はスウェーデンの医科大学「カロリンスカ研究所」です。文学賞は学者・作家ら18人からなる学術機関「スウェーデン・アカデミー」が選出。平和賞はノルウェー国会が選んだ5人で構成する「ノルウェー・ノーベル委員会」が選考します。
2015年12月7日掲載