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ノーベル賞はどのように決まる?~選考の仕方や日本の研究環境の課題を知る

2015.12.7 掲載
2015年のノーベル生理学・医学賞は北里大学の大村智特別栄誉教授らに、物理学賞は東京大学の梶田隆章宇宙線研究所長らにそれぞれ授与されることが決まりました。2000年以降、日本人の自然科学部門の受賞者は米国籍の2人を含め16人で、米国に次ぐ多さです。ただ、日本の科学技術力の高さを今後も世界に示していくためには課題もあります。今回はノーベル賞とはどんな賞なのか、その選考の方法、日本の研究環境の課題などについて解説します。

1.ダイナマイトの発明者の遺産から生まれた賞

1.ダイナマイトの発明者の遺産から生まれた賞
 安全に運搬・保管できる爆薬のダイナマイトの発明などで巨万の富を築いたスウェーデンの実業家、アルフレッド・ノーベルの遺産を基に、1901年に創設されたのがノーベル賞です。1世紀を超える長い歴史と高額の賞金、厳密で公正な審査などで知られる国際的な賞です。
 創設当初は物理学、化学、生理学・医学、文学、平和の5賞でしたが、69年に経済学が加わり6賞となりました。これらの分野で多大な貢献をした人物が受賞者に選ばれ、毎年10月に発表されます。
 各賞はそれぞれの分野の最も価値ある賞といっても過言ではありません。なかでも「自然科学3賞」と呼ばれる物理学、化学、生理学・医学の各賞は世界的に高い権威を誇ります。
2015年12月7日掲載