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ノーベル賞はどのように決まる?~選考の仕方や日本の研究環境の課題を知る

2015.12.7 掲載
2015年のノーベル生理学・医学賞は北里大学の大村智特別栄誉教授らに、物理学賞は東京大学の梶田隆章宇宙線研究所長らにそれぞれ授与されることが決まりました。2000年以降、日本人の自然科学部門の受賞者は米国籍の2人を含め16人で、米国に次ぐ多さです。ただ、日本の科学技術力の高さを今後も世界に示していくためには課題もあります。今回はノーベル賞とはどんな賞なのか、その選考の方法、日本の研究環境の課題などについて解説します。

3.賞の権威を支える厳格な審査体制

3.賞の権威を支える厳格な審査体制
 受賞者の選考過程は受賞の50年後まで明かされません。大まかな流れとしては、まず選考を担当する各組織が設置するノーベル委員会が毎年9月、該当分野の専門家や過去の受賞者らに受賞候補の推薦依頼状を送付します。翌年1月末に推薦を締め切り、委員会や委託された専門家が「推薦された研究者が本当に最初に手掛けたものか」「同様の成果を挙げた研究者が他にいないか」などを調査し、候補者を絞り込みます。特に自然科学3賞は「最初」にこだわって、巨額の費用と手間をかけて徹底的に調査しており、厳正かつ公正であるとの評価を受けています。
 厳しい審査・選考の末、毎年10月に投票による多数決で受賞者を決定し発表します。受賞者は文学賞を除き3人までで、平和賞だけは個人ではなく団体が対象となる場合があります。
 授賞式はノーベルの命日である12月10日に、平和賞以外の5賞はスウェーデンのストックホルムで、平和賞はノルウェーのオスロで開かれます。賞金額は2001~11年まで1000万スウェーデン・クローナ(現行レートで約1億4000万円)でしたが、運用益の減少などを理由に12年からは800万クローナ(同約1億1000万円)に減額されました。それでも世界最高水準の賞金額だといえます。
2015年12月7日掲載