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参入が相次ぐ「植物工場」の最新事情を知る

2014.12.1 掲載
野菜や果物などの農作物を生育環境を自動制御した施設内でつくる「植物工場」が増えています。季節や天候に関係なく1年を通して安定して生産でき、安心・安全であることなどが人気です。政府は補助金を出して普及を後押ししており、途上国などへの設備やノウハウの輸出も始まっています。今回は植物工場とは何か、注目され急増している背景、企業の参入状況などについて解説します。

1.ITなどを駆使した施設内で野菜や果物を栽培

1.ITなどを駆使した施設内で野菜や果物を栽培
 植物工場は野菜や果物の生育に必要な温度、光、二酸化炭素、養分、水分などの環境条件を、IT(情報技術)などを活用した自動制御装置で最適な状態に保ち、野菜などを計画的に栽培する施設です。野菜工場とも呼ばれます。そのほとんどは土を使わず、水に肥料を溶かした培養液によって作物を育てる水耕栽培です。太陽光を利用せず蛍光灯やナトリウムランプ、発光ダイオード(LED)などの人工光だけで栽培する「完全人工光型」と、太陽光と人工光を併用する「太陽光利用型(太陽光併用型)」の2種類があります。
 生育環境が外部と遮断されており、季節や天候の変化に左右されず、害虫や病原菌の被害を受けにくいため、1年を通して効率よく安定した生産ができます。植物工場で栽培された野菜はほぼ無菌状態で農薬を使わずに栽培されるので、洗わなくてもそのまま食べられます。鮮度が長く保たれ、ビタミンやミネラルなどの含有量が高いうえ、品質や価格が安定していることも特長です。
2014年12月1日掲載