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参入が相次ぐ「植物工場」の最新事情を知る

2014.12.1 掲載
野菜や果物などの農作物を生育環境を自動制御した施設内でつくる「植物工場」が増えています。季節や天候に関係なく1年を通して安定して生産でき、安心・安全であることなどが人気です。政府は補助金を出して普及を後押ししており、途上国などへの設備やノウハウの輸出も始まっています。今回は植物工場とは何か、注目され急増している背景、企業の参入状況などについて解説します。

3.技術の向上や消費動向の変化で急増。国も普及を後押し(2)

 日本の農業は就農者の減少や高齢化、これに伴う耕作放棄地の拡大などの課題を抱えています。その一方で、企業の資金力や経営ノウハウを生かして大規模化することで、生産性の向上や付加価値を高める余地があり、成長分野として期待されています。民間企業の農業参入を促すため2000年代から規制緩和が進められましたが、企業が農地を直接取得することに対する規制は現在も十分に緩和されていません。植物工場なら、企業はもともと保有する遊休地や稼働していない工場の跡地などを活用でき、農地を確保する必要がありません。この点も植物工場が増える理由の一つとなっています。
 政府も企業の植物工場事業への参入を後押ししており、08年に農林水産省と経済産業省が共同でワーキンググループを立ち上げ、植物工場の普及・促進のために総額150億円の補助金を出しています。
2014年12月1日掲載