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「炭素繊維」ってどんなもの?

2014.6.2 掲載
軽くて丈夫な先端素材「炭素繊維」。スポーツ用品などの身近な製品からロケットや人工衛星といった航空宇宙分野まで、様々な用途で利用されています。近年は航空機や自動車の燃費性能の向上につながるとして注目されており、世界最大手の東レが米大手を買収するなど、市場で優位を狙う日本企業の動きも活発になっています。今回は炭素繊維の特徴や用途、業界動向などについて解説します。

3. 日本の素材メーカーが世界市場をリード

3. 日本の素材メーカーが世界市場をリード
 炭素繊維の歴史は19世紀末に米国の発明家トーマス・エジソンが木綿や竹を焼いて電球のフィラメントに用いたことが始まりといわれます。
 各国で研究開発が進められてきましたが、基礎技術を開発し、いち早く商業生産したのは日本でした。1961年に大阪工業技術試験所(現産業技術総合研究所)の進藤昭男氏がPAN系炭素繊維の開発を発表し、63年には群馬大学の大谷杉郎氏がピッチ系炭素繊維の開発に成功。炭素繊維の国内生産は70年代から本格的にスタートしました。
 現在、世界の炭素繊維生産の国別シェアは日本が首位で、東レ、帝人、三菱レイヨンの国内メーカー3社で世界市場シェアの7割以上を占めています。
2014年6月2日掲載