「炭素繊維」ってどんなもの?2014.6.2 掲載軽くて丈夫な先端素材「炭素繊維」。スポーツ用品などの身近な製品からロケットや人工衛星といった航空宇宙分野まで、様々な用途で利用されています。近年は航空機や自動車の燃費性能の向上につながるとして注目されており、世界最大手の東レが米大手を買収するなど、市場で優位を狙う日本企業の動きも活発になっています。今回は炭素繊維の特徴や用途、業界動向などについて解説します。 Tweet 1. 鉄の4分の1の重さ、10倍の強度を持つ先端素材(1) 炭素繊維は炭素を含んだ樹脂が原料の合成繊維を高温で焼いてつくる素材で、炭素原子の含有率が90%以上のものを指します。ポリアクリロニトリル(PAN)と呼ばれる樹脂からつくる「PAN系」と、石油精製や石炭分解の副産物などを原料とする「ピッチ系」の2種類があります。 炭素繊維は高温処理によって炭素の分子が独特の結晶構造で強く結びつくため、軽くて丈夫という特徴があります。重さは鉄の約4分の1で、強度は約10倍、硬さは約7倍です。さびにくく耐熱性に優れ、電気を伝えやすいという特性があります。2014年6月2日掲載 1 2 3 4 5 次へ