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ビル解体ラッシュ到来~高層ビル解体の最新技術について知る

2014.4.21 掲載
1970~80年代に建設された高層ビルが相次ぎ建て替え時期を迎えています。都市部でのビル解体工事は周囲への影響が大きく、単純に圧砕・粉砕するわけにはいかないため、ゼネコン(総合建設会社)各社は静かに美しく壊すビル解体工法の開発を競っています。今回は日本における高層ビル建設の歴史を振り返るとともに、ゼネコン各社が誇る高層ビル解体の最新技術について解説します。

5. 「巻き戻し再生」するように上から解体(2)

5. 「巻き戻し再生」するように上から解体(2)
 同社はこの工法を11年に東京・大手町の「大手町フィナンシャルセンター」(24階、105メートル)の解体工事で初めて採用しました。12~13年の東京・紀尾井町の「グランドプリンスホテル赤坂(赤プリ)」(40階、138.9メートル)の解体にも採用され、周りの景観を損ねることなく、静かに着実に高層ビルが「縮んでいく」姿は話題となりました。
 このほか、大林組は高層ビルを解体する際、圧砕せずに全て切断してタワークレーンで地上に下ろして分別処理する「QBカットオフ工法」を開発しました。竹中工務店は大成建設と同じように上から解体する「竹中ハットダウン工法」を開発し、大阪市北区の「ホテルプラザ」の解体工事に初めて採用。清水建設は内装材を撤去した後、最上階からコンクリートの床を切断し、鉄骨のはりや柱を分解。それらをタワークレーンで地上に降ろす「シミズ・リバース・コンストラクション工法」を開発し、東京・京橋の「京橋清水ビル」解体に採用しています。
 20年には56年ぶりに東京で五輪の開催が決まりました。高層ビルの先駆けの一つとなったホテルニューオータニが建設されたのは、日本中でまだ開発のつち音が響いていた前回の東京五輪の時でした。20年の五輪開催へ向けて再開発機運が高まっているため、解体工事はさらに増えるかもしれません。日本の大手ゼネコンの高層ビルを静かに美しく壊す、世界でも類を見ない高度な技術は引き続き注目を集めそうです。
2014年4月21日掲載