ビジュアル・ニュース解説

ビル解体ラッシュ到来~高層ビル解体の最新技術について知る

2014.4.21 掲載
1970~80年代に建設された高層ビルが相次ぎ建て替え時期を迎えています。都市部でのビル解体工事は周囲への影響が大きく、単純に圧砕・粉砕するわけにはいかないため、ゼネコン(総合建設会社)各社は静かに美しく壊すビル解体工法の開発を競っています。今回は日本における高層ビル建設の歴史を振り返るとともに、ゼネコン各社が誇る高層ビル解体の最新技術について解説します。

4. 「巻き戻し再生」するように上から解体(1)

4. 「巻き戻し再生」するように上から解体(1)
 従来の高層ビル解体工事は建物の外周に仮設の足場や防音パネルを設置するだけで、建物の上部は解放したままで行われるのが一般的でした。しかし、建物の高さが100メートル以上の場合、上空の風が強く、作業の危険度は増します。粉じんの飛散や部材の落下、騒音の発生も懸念されます。
 そこで大成建設が開発したのが新工法「テコレップシステム」です。最上階の屋根と建物上部の外周を足場ごと防音パネルで覆って閉鎖空間をつくり、新築工事を巻き戻し再生するように上から順に解体します。分解した部材は内部に設置されたクレーンで下ろして再利用します。帽子をかぶせたようにビル最上部を覆った閉鎖空間は外周部の仮設支柱で支えられ、1、2フロアを解体するごとに降下させます。クレーンで解体材を下ろす際の落下エネルギーを活用して発電することで、解体作業に使う装置の消費電力を抑えられるのも特長の一つです。
2014年4月21日掲載