ビジュアル・ニュース解説

日本の農業ビジネスの最新事情を知る

2014.1.20 掲載
働き手の高齢化や後継者不足、耕作放棄地の拡大といった問題に直面する日本の農業。規制緩和をきっかけに農地経営に乗り出す企業が増え、農業の新たな担い手として存在感が高まっています。安倍政権は環太平洋経済連携協定(TPP)参加を踏まえ、農地の集約やコメの生産調整(減反)廃止などの農業強化策を推進。企業の農業参入を促すとともに、意欲的な農家を後押しすることで国内農業の競争力向上を図っています。今回は日本の農業の現状や規制緩和の経緯、企業の参入動向、安倍政権の農業改革などについて解説します。

4. 安倍政権の農業改革に課題も(1)

4. 安倍政権の農業改革に課題も(1)
 安倍政権は企業の参入を促し、意欲的な農家を後押しする農業改革に積極的です。
 日本はTPP交渉に参加していますが、締結で関税が大幅に引き下げられれば海外から安価な農産物が流入し、国内農業が大きな打撃を受けるおそれがあります。ただ、TPPへの参加は大胆な改革によって停滞する日本の農業が活力を取り戻すチャンスでもあります。安倍政権は農業を成長分野に位置づけ、13年6月に決定した成長戦略で20年の農林水産物などの輸出額を12年の倍以上の1兆円に拡大する目標を打ち出しました。
 施策の柱が農地集約の推進です。都道府県が設立する「農地中間管理機構(農地バンク)」が零細な農地や耕作放棄地を借り上げて集約・整備し、農業生産法人や大規模農家などに貸し出す制度の導入を検討しています。農地の大規模化により生産性を高め、競争力の向上を図る狙いです。
2014年1月20日掲載