日本の農業は現在、さまざまな課題に直面しています。その一つが働き手の高齢化で、2012年の農業就業人口(15歳以上の農家世帯員のうち、調査前の1年間に自営農業のみで働いた人と、農業とそれ以外の仕事の両方をしており自営農業が主の人)の平均年齢は65.8歳に達しています。少子化による後継者不足も深刻で、農業就業人口は減少の一途をたどっています。
農地も減り続けています。1965年に600万ヘクタールあった農地面積は13年には453万ヘクタールにまで減少しています。1年以上作物を栽培せず再び耕作の見込みがない農地を耕作放棄地といいます。農家の働き手の高齢化と後継者不足を背景に、国内の耕作放棄地はここ10年で15%以上増え、広さは国内の農地全体の約1割、滋賀県の面積に匹敵する約40万ヘクタールにまで拡大しています。この背景にはコメの生産数量を抑える国の減反制度(後述)の影響のほか、宅地転用への期待などから農地を相続しても耕作せずに放置したままにする人が少なくないことがあります。生産効率をあげるには広い農地が必要ですが、地域に耕作放棄地があると農地を広げるための集約にも支障をきたします。