ビジュアル・ニュース解説

日本の農業ビジネスの最新事情を知る

2014.1.20 掲載
働き手の高齢化や後継者不足、耕作放棄地の拡大といった問題に直面する日本の農業。規制緩和をきっかけに農地経営に乗り出す企業が増え、農業の新たな担い手として存在感が高まっています。安倍政権は環太平洋経済連携協定(TPP)参加を踏まえ、農地の集約やコメの生産調整(減反)廃止などの農業強化策を推進。企業の農業参入を促すとともに、意欲的な農家を後押しすることで国内農業の競争力向上を図っています。今回は日本の農業の現状や規制緩和の経緯、企業の参入動向、安倍政権の農業改革などについて解説します。

2. 農業再生に向けた改革が進む

2. 農業再生に向けた改革が進む
 そこで、政府は以前から農業を再生するため改革を進めています。その柱の一つが一般企業の農業参入促進です。農家を保護するため、国は企業が農業を手がけることにさまざまな制限を設けてきました。しかし1990年代以降、企業が農業に参加しやすいように段階的に規制が緩和されました。資金力と経営ノウハウを持つ大手企業の参入を促すことで、高齢化や後継者不足などで衰退する農業を活性化させるのが狙いです。
 93年に農業生産法人(農地法が定める農地を取得できる法人)への有限会社などの出資を可能となり、2001年 には株式会社も出資できるようになりました。03年には特定地域(特区)に限り農業生産法人を設立しなくても企業が農地を借りられる農地リース方式が導入されています。この制度は05年に全国に拡大され、市町村が認める地域で企業が農地を借りられるようになりました。
 09年には農地法の改正によって農地リース方式の地域制限が撤廃され、全国どこでも企業が農業に参入できるようになりました。リース期間も20年から50年に延長され、農業生産法人への出資比率の上限も10%以下から50%未満に引き上げられました。これによって企業がより深く農業経営に関わることが可能となりました。
2014年1月20日掲載