無料通話アプリは、ここ1、2年で利用者が急拡大しています。人気の火付け役となったのが「LINE(ライン)」です。2011年6月にサービスを開始して以降、登録ユーザー数を急速に伸ばし、13年4月には世界で1億5000万人を突破しました。これは交流サイト(SNS)の「フェイスブック」やミニブログ「ツイッター」よりも早いスピードでの達成です。
最近の利用者の伸びをけん引しているのは海外市場です。登録ユーザー数の約3分の1を日本が占めますが、台湾やタイでも浸透しており、スペインや中南米でもユーザーが急増しています。
ちなみにLINEを開発したNHNジャパン(現・LINE)は、検索サービス「NAVER(ネイバー)」やオンラインゲーム「ハンゲーム」で知られる韓国のNHNコーポレーションが100%出資する日本法人です。現在、世界で普及しているITサービスの多くは米欧で生まれたものですが、LINEは初めてのアジア発の世界的なITサービスと言えます。
LINEに代表される無料通話アプリの利用が広がった前提として、スマホの爆発的な普及があります。これまでもパソコン向けの無料通話サービスがありましたが、電話機であるスマホと無料通話サービスの親和性は高く、パソコン向けサービスに比べて受け入れられやすい面がありました。
また通話やメールが手軽に始められることもユーザーに支持されました。たとえばLINEの場合は、スマホに専用アプリをインストールすると、「友だち」として登録したユーザー同士であれば、すぐに通話やメールができます。これまでのSNSでは他のユーザーに登録申請をする必要がありますが、LINEではスマホの電話帳を使って自動的に登録してくれます。逆に、通話やメールができるのは互いのスマホに電話番号が登録されている場合のみであり、電話番号を交換した身近な友人や知人だけと限定的に交流できる点はユーザーの安心感にもつながっています。
さらに無料通話アプリの普及を後押ししたのが「スタンプ」と呼ばれるキャラクターイラストを送受信できる機能です。これは絵文字よりも大きくてインパクトがあり、喜怒哀楽がキャラクターのさまざまな表情や動作で表現されています。文字入力がしにくいとされるスマホでも、スタンプなら画面をタップするだけで手軽にコミュニケーションができるわけです。特にLINEはキャラクターの数や種類の豊富さで群を抜いており、この機能が若年層を中心に支持を得て、普及の原動力となっています。