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街中の水族館が増えているのはなぜ? ~水族館の最新動向について知る!

2012.11.19 掲載
地方の海沿いにあるのが一般的だった水族館ですが、近年は内陸の都市部での開業が増えています。2012年3月には京都駅近くに「京都水族館」が、5月には東京都墨田区の東京スカイツリーに隣接する商業施設内に「すみだ水族館」がオープンしました。いずれも海の水を一切使わず人工海水だけを用いる国内初の試みです。今回は水族館の役割や歴史、経営形態、都市部での開業が増えている背景などについて解説します。

3. 制度改正で水族館運営の民間委託が容易に

3. 制度改正で水族館運営の民間委託が容易に
 日本の水族館を設置者別に見ると、国の設置する「国立水族館」、地方自治体による「公立水族館」、民間資本による「私立水族館」、地方公共団体と民間が出資した会社による「第三セクター」などに大別できます。日本の水族館は欧米に比べて私立が多いのが特徴です(全体のおよそ4割)。
 公立の場合は、地方公共団体が直接運営するのではなく、外部に委託するケースが少なくありません。以前は、委託先は自治体の出資法人などに制限され、受託する側の権限や責任が限られていましたが、2003年に地方自治法が改正され、公共施設の管理運営者をNPO法人や企業など、広く民間から公募できる「指定管理者制度」が作られたことで状況は変わりつつあります。NPO法人や民間企業は、ミュージアムショップ・レストラン・遊具施設といった付帯事業による入場料以外の収入の確保や、収支計画の設定が柔軟にできます。現在では同制度を活用して民間に運営を委託するケースが出ています(指定管理者制度については「公立ミュージアムの最新動向を知る!」を参照)。
2012年11月19日掲載