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街中の水族館が増えているのはなぜ? ~水族館の最新動向について知る!

2012.11.19 掲載
地方の海沿いにあるのが一般的だった水族館ですが、近年は内陸の都市部での開業が増えています。2012年3月には京都駅近くに「京都水族館」が、5月には東京都墨田区の東京スカイツリーに隣接する商業施設内に「すみだ水族館」がオープンしました。いずれも海の水を一切使わず人工海水だけを用いる国内初の試みです。今回は水族館の役割や歴史、経営形態、都市部での開業が増えている背景などについて解説します。

1. 水生動物を飼育・展示して教育や研究に役立てる施設

1. 水生動物を飼育・展示して教育や研究に役立てる施設
 魚介類、は虫類、両生類、海獣(イルカやアシカなど)といった海や河川・湖沼の水中や水辺にすむ生き物(水族)を集めて一般に展示している施設を「水族館」といいます。美術館や動物園などと同じく、法律上は博物館に位置付けられます。日本には日本動物園水族館協会加盟の水族館が65館あり(2012年4月現在)、世界の総数約400館のうち16%ほどが集中しています。水族館がいかに日本人に親しまれているかがうかがえます。
 海獣のショーが盛んに行われるなど、娯楽性が高いのが日本の水族館の特色です。単独施設としてだけでなく、動物園内に併設されていたり、遊園地内の一施設となっていたりするところもあります。多くは地方の海沿いの観光地に立地しますが、技術の進歩により最近は海から離れた内陸や都市部に設置される例が増え(後述)、大規模化が進んでいます。
 水族館の役割や目的としては、まずは生き物の生態や自然環境の大切さを楽しみながら学べる場ということが挙げられますが、それだけに限りません。地球上の野生動物の「種の保存」という大切な役割を担っており、全国の水族館は連携して希少な生き物の繁殖・維持に取り組んでいます。大学などの研究機関と共に、生き物の生態調査・研究施設としても機能しています。
2012年11月19日掲載