日本の水族館の集客は1990年代のブーム時にピークに達しましたが、現在は景気の低迷や少子化の影響などにより不振となっている水族館が少なくありません。日本動物園水族館協会に加盟する水族館の2010年度の総来場者数は約2934万人で、前年度から約192万人(6.1%)減りました。特に目立つのが、予算や運営面での制約が多い公立水族館の苦戦ぶりです。装置産業的な性格を持つ水族館は、水槽施設の改修などの設備投資負担が重く、投資を抑えながらの集客力維持は容易ではありません。
こうした中でも、最近は水族館をめぐる状況に変化の兆しがあります。2011年から12年にかけて、民間企業が運営する水族館の新増設が全国で相次いでいるのです。オリックス不動産が3月に京都市下京区で「京都水族館」をオープンしたのに続き、5月には東京スカイツリー(東京・墨田)に隣接する「すみだ水族館」が開業しました。
リニューアルオープンも相次いでいます。11年8月、複合商業施設のサンシャインシティ(東京・豊島)内にある「サンシャイン水族館」が全面リニューアルし、真下からアシカを眺められる水槽などユニークな展示施設が導入されています。日和山観光(兵庫県豊岡市)は城崎マリンワールドに筒型水槽を中心とする施設「チューブ」を12年3月に新設し、トドやアザラシなどの行動をさまざまな角度から観察できるようにしました。
京都水族館は開業から1カ月間の入場者数が計画を5割強上回り、サンシャイン水族館は改装オープンから4カ月で入場者数が100万人を突破するなど、いずれも立地の良さや話題性も手伝って人気を集めています。