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世界の穀物取引の主役「穀物メジャー」について知る!

2012.9.3 掲載
世界の穀物取引において極めて大きな影響力を持つ「穀物メジャー」。世界的な食糧需要の拡大に対応して穀物供給網をさらに拡充し、ますますその力を強めようとしています。また最近では丸紅が米国3位の穀物取引業者ガビロンを買収するなど、日本の商社も世界の食糧市場で存在感を高めています。今回は、穀物メジャーとはどんな企業か、世界の食糧供給における役割、日本の商社との関係、業界動向などについて解説します。

一貫供給体制のさらなる拡充をはかる穀物メジャー

一貫供給体制のさらなる拡充をはかる穀物メジャー
 いまや世界の総人口は70億人を突破し、食糧需要は増大する一方です。特に需要が急増しているのが経済成長著しい中国です。同国は主に食用油に使う大豆の輸入量がこの10年間で5倍に拡大。家畜向け飼料が最も多いトウモロコシでも国内需要が5割超増えました。小麦の場合、2011年6月~12年5月期に中国国内の生産高と需要がほぼ拮抗し、純輸入国となることが確実となっています。
 穀物メジャーは中国をはじめとするアジア地域の需要の増加に対応するため、穀物供給網のさらなる拡充をはかっています。例えば、穀物の供給源としてこれまでの主力の北米に加えて、豊かな穀倉地帯を有する南米のブラジルやアルゼンチンにも進出。現地農家を資金的に援助すると共に、輸出用のエレベーターを建設したり、現地の加工会社を買収したりして、南米における集荷・輸出能力を強化しています。また、中国の搾油企業を買収するなど、需要を喚起するために需要地での食糧関連企業の買収にも積極的です。
2012年9月3日掲載