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世界の穀物取引の主役「穀物メジャー」について知る!

2012.9.3 掲載
世界の穀物取引において極めて大きな影響力を持つ「穀物メジャー」。世界的な食糧需要の拡大に対応して穀物供給網をさらに拡充し、ますますその力を強めようとしています。また最近では丸紅が米国3位の穀物取引業者ガビロンを買収するなど、日本の商社も世界の食糧市場で存在感を高めています。今回は、穀物メジャーとはどんな企業か、世界の食糧供給における役割、日本の商社との関係、業界動向などについて解説します。

合併・買収により2強体制が確立(2)

 穀物取引による流通マージンは利幅が薄く、そもそも天候の影響を受けるため穀物の生産量は不安定です。穀物輸出は米国政府などの通商政策にも大きく左右されます。安定的に高収益を上げるため、穀物メジャーは80年代以降事業の多角化を推し進め、製粉、配合飼料生産、畜産、食肉加工、肥料販売、種子販売、製塩、製鉄、保険、バイオ燃料生産など多くの分野に進出しています。
 なお、穀物メジャーは日本の食糧供給の主な担い手である商社とも深い関わりを持っています。商社は国内の食品メーカーや油脂メーカー、飼料会社などと穀物の販売契約を結び、穀物メジャーなどから穀物を調達しています。穀物メジャーにとって大量の穀物を買い付けてくれる日本の商社は重要な顧客です。一方で、近年では日本の商社も穀物供給網の構築に積極的で、世界の穀物市場で競合する存在でもあります。
2012年9月3日掲載