ビジュアル・ニュース解説

「スマートハウス」ってどんなもの?

2012.7.2 掲載
太陽光発電や燃料電池などでつくり出したエネルギーを、IT(情報技術)を活用して効率的に利用する次世代省エネ住宅「スマートハウス」。東日本大震災後の電力不足をきっかけに需要が高まっており、住宅メーカー各社はスマートハウス事業を相次いで強化しています。今回はスマートハウスとは何か、関連企業の動向、今後の課題などについて解説します。

電力需給ひっ迫をきっかけにスマートハウス事業が本格化

電力需給ひっ迫をきっかけにスマートハウス事業が本格化
 国や企業が、現在のような形のスマートハウスの実用化に取り組むようになったのは2000年頃です。当時の主な目的は温暖化対策でした。政府はスマートハウスの普及促進を掲げ、住宅、電機、IT、自動車などの業界が実証実験などを進めてきました。当初は一般の消費者からはそれほど注目されず、実用化はしばらく先のことと見られていましたが、東日本大震災後の電力需給のひっ迫により一気に様相が変わります。電力消費を効率化でき、単独でも電力を賄えるスマートハウスに人々の関心が大いに高まりました。これを受けて各社は11年以降、本格的にスマートハウスの販売を始めています。
 例えば、積水化学工業は11年4月から国内で初めてHEMSを標準装備した住宅販売を開始。14年3月期中にすべての新築住宅に太陽光発電システム、蓄電池、HEMSを標準搭載する戦略を打ち出しています。またミサワホームは太陽熱集熱と太陽光発電を併用した住宅を、大和ハウス工業、旭化成ホームズ、三井ホームなどは蓄電池を搭載した住宅を発売するなど、住宅メーカーの間ではスマートハウス型住宅の投入が相次いでいます。
 世界のスマートハウスの市場規模(関連製品・装置など含む)は、現在の2、3兆円から2020年には12兆円近くにまで拡大するとの民間予測もあります。関連産業のすそ野は広く、HEMSやこれに対応した電気機器の開発の中心を担う電機メーカー、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)の普及を狙う自動車業界などにとっても重要な商機となります。例えば、トヨタホームはトヨタ自動車のPHVと連携して、家と車の間で電力を効率的にやり取りできる商品を発売しています。このほか、2011年に家電量販大手のヤマダ電機が住宅メーカーのエス・バイ・エルを買収するなど、成長市場を狙った異業種参入の動きや企業間のM&Aも活発化しています。
2012年7月2日掲載