ビジュアル・ニュース解説

「スマートハウス」ってどんなもの?

2012.7.2 掲載
太陽光発電や燃料電池などでつくり出したエネルギーを、IT(情報技術)を活用して効率的に利用する次世代省エネ住宅「スマートハウス」。東日本大震災後の電力不足をきっかけに需要が高まっており、住宅メーカー各社はスマートハウス事業を相次いで強化しています。今回はスマートハウスとは何か、関連企業の動向、今後の課題などについて解説します。

新たな輸出産業としても期待

新たな輸出産業としても期待
 日本はスマートハウスの世界市場の3割を占める最大市場ですが、今後人口増加が見込まれるアジアやアフリカ、中南米などでも需要が伸びると見られます。スマートハウスを構成するHEMSや蓄電池、EVなどの技術は日本勢がリードしており、日本の新たな輸出産業としても期待されています。
 まず国内でスマートハウスを普及させるためには、さまざまなメーカーの関連機器をネットワークにつなぐ通信規格を統一しなければなりません。政府は2011年12月、HEMSと家電などの機器との間の標準通信規格として、大手電機などが協力して開発した「エコーネット・ライト」の採用を決定しました。ただ、国内の規格を統一しただけでは海外に打って出ることはできません。米国や欧州などでも独自のHEMSの通信規格を策定中だからです。日本企業が世界でスマートハウスを販売していくためには、海外の規格化の動きとも連携していく必要があります。
 普及に向けてはコストの問題も小さくありません。標準的な一戸建ての場合、太陽光発電や蓄電池などスマートハウスの基本システムだけで消費者の負担は通常の住宅より400万円以上増えるとされます。政府は高価な蓄電池の購入に対して補助金制度を設けたり、再生可能エネルギーの買い取り制度を導入したりしていますが、引き続きメーカー各社には技術革新や量産化によるコストダウンなどさまざまな低価格化の努力が求められます。新興国など海外市場を開拓する場合は、価格はより重要な要素となるからです。海外でも通用する低価格を実現するため、企業間の連携も今後ますます進むかもしれません。
2012年7月2日掲載