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ビットコインなどの暗号資産、利用の裾野広がる

2021.9.6 掲載
ビットコインに代表される暗号資産(仮想通貨)の利用が広がっています。価格の変動幅が大きいことから一部の人たちの投機対象とみられていましたが、欧米の決済大手による市場への参入などで、企業や一般の投資家なども注目するようになりました。今回は暗号資産の仕組みや課題などを解説します。

1.通貨のような機能を持つデジタルデータをネット上でやり取り

1.通貨のような機能を持つデジタルデータをネット上でやり取り
 暗号資産はインターネット上でやり取りする、通貨のような機能を持つデジタルデータです。当初は「仮想通貨」と呼ばれていましたが、2020年5月に施行された改正資金決済法で、円やドルなどの法定通貨と明確に区別し混同を防ぐために呼称が国際標準の表現に合わせられました。ただ、その後も仮想通貨と呼ばれることが少なくありません。代表的な暗号資産としてはビットコインのほか、イーサリアム、テザー、リップル、ライトコインなどがあります。多くの暗号資産は発行上限が定められており、資産価値が保たれるようにしてあります。
 暗号資産には法定通貨を発行する中央銀行のような管理者はおらず、価値は保証されていません。取引に関する情報はブロックチェーン(分散型台帳)という技術を使い、インターネット上の複数のコンピューターで取引の記録を共有して互いに監視し合いながら正しい記録を蓄積する仕組みで管理されているため、情報の改ざんによる不正は困難です。ただし、暗号資産の所有者であることを証明するパスワード「秘密の鍵」を安全に管理する必要があり、これをなくしたりハッキングをされたりした場合には暗号資産を奪われる恐れがあります。
 暗号資産は通常、交換業者に口座を作り、業者が管理する取引所で売買します。株や債券と同じように、売り手の提示価格と買い手の希望価格が一致すれば取引が成立します。交換業者が保有する暗号資産を提示された価格で購入することもできます。例えばビットコインを所有したり、売却したりするには、ビットコインの交換業務をしている業者に手数料を支払って法定通貨でビットコインを売買します。利用者はネット上の専用電子財布「ウォレット」で暗号資産を保有し、パソコンやスマートフォンを通じて銀行経由より割安な手数料で簡単に送金できます。法定通貨と交換もでき、物品やサービスの購入代金支払いや決済への利用も次第に広がっています。

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