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ビットコインなどの暗号資産、利用の裾野広がる

2021.9.6 掲載
ビットコインに代表される暗号資産(仮想通貨)の利用が広がっています。価格の変動幅が大きいことから一部の人たちの投機対象とみられていましたが、欧米の決済大手による市場への参入などで、企業や一般の投資家なども注目するようになりました。今回は暗号資産の仕組みや課題などを解説します。

3.脱税やマネーロンダリングに使われることも

3.脱税やマネーロンダリングに使われることも
 暗号資産の売買は個人投資家主体から機関投資家にも広がっており、暗号資産交換業のほか、ゲーム会社や飲食店の運営企業など国内上場企業に投資の動きが出ています。世界の暗号資産の時価総額は21年4月に2兆ドル台に乗せ、1年前と比べて約10倍に膨らみました。中米のエルサルバドルは同年9月からビットコインを法定通貨のひとつにすることを決定。登録した国民に30ドル(約3300円)相当のビットコインを配布する計画です。
 ただ、暗号資産の決済利用がさらに拡大するには課題があります。暗号資産は管理者がいないので取引情報の追跡ができないため、脱税などの違法行為や、犯罪で得た資金の流れを把握されないようにするマネーロンダリング(資金洗浄)に使われることがあります。価格変動が大きく投資家保護の仕組みも不十分です。これに対し、各国の政府や中央銀行は監視を強めています。米政府は1万ドル(約109万円)を超える暗号資産の送金について内国歳入庁(IRS)に報告を義務づける方針で、日本や欧州も送金時の本人確認を厳しくするルールを導入する見通しです。また、暗号資産のマイニングに必要な膨大な計算は大量に電力を消費するため、ESG(環境・社会・企業統治)の面で投資にふさわしくないとの指摘もあります。

動画で解説!ビットコイン急落の理由とは?
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