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縮小続くビール市場、酒税改正で反転に期待

2020.8.3 掲載
夏本番を迎え、キンキンに冷えたビールがおいしい季節になりました。ビールの出荷量は価格が安いビール系飲料の発泡酒や第三のビールなどに押されて減少が続いていますが、ビール系飲料の酒税が2020年から3段階で見直されて26年に一本化されるのを控え、状況が変わる可能性もあります。今回はビールの製造法や種類、市場を取り巻く環境の変化などについて解説します。

1.紀元前4000年ごろにはメソポタミアで製造

1.紀元前4000年ごろにはメソポタミアで製造
 ビールは紀元前4000年ごろには、現在のイラクの一部に生まれたメソポタミア文明の初期を担ったシュメール人が作っていたとされます。古代エジプトでは紀元前3000年ごろ、中国でも5000年前にはビールを作っていた痕跡が見つかっています。当時のビールの醸造法は粉末にした麦芽を使って焼いたパンを水に浸し、麦芽の酵素で糖化を進めてアルコール発酵させていました。
 ビールの製造法が現在とより近くなったのは12世紀以降、ドイツの女子修道院からホップの使用が広がってからです。ホップはアサ科のつる性多年草で、雌株につく松かさのような毬花(きゅうか)をビールの原料に使用することで、ビール特有の苦みやさわやかな香りが生まれます。19世紀後半にはデンマークのカールスバーグがビール醸造に適した酵母だけを抽出・培養する酵母の純粋培養技術を開発。均一で良質なビールを大量生産できるようになりました。
2020年8月3日掲載