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縮小続くビール市場、酒税改正で反転に期待

2020.8.3 掲載
夏本番を迎え、キンキンに冷えたビールがおいしい季節になりました。ビールの出荷量は価格が安いビール系飲料の発泡酒や第三のビールなどに押されて減少が続いていますが、ビール系飲料の酒税が2020年から3段階で見直されて26年に一本化されるのを控え、状況が変わる可能性もあります。今回はビールの製造法や種類、市場を取り巻く環境の変化などについて解説します。

2.発酵方法の違いなどによって味や香りに違い

2.発酵方法の違いなどによって味や香りに違い
 ビールの製造はまずビール大麦から分解されやすい麦芽を作ることから始まります。麦芽は大麦に水分を与えて発芽させてから乾燥させることでできます。乾燥により風味が増した麦芽を砕いて温水と混ぜると、麦芽の酵素の働きででんぷん質が糖分に変わります。これをろ過しホップを加えて煮沸すれば麦汁ができます。麦汁を冷却し、酵母を加えて発酵タンク内で発酵させれば、麦汁中の糖分がアルコールに分解されるとともにビール特有の炭酸ガスの泡も発生します。これを0度ぐらいの低温で数十日間熟成させた後、ろ過するとビールができ上がります。
 ビールは原料や作り方などによりいくつかの種類に分けられます。一般的な「ラガー」は15世紀にドイツで生まれた、10度以下の低温で長時間発酵させたビールです。発酵が進むにつれて酵母が下層に沈むため下面発酵ビールとも呼ばれ、飲みやすく爽快な喉越しが楽しめます。ラガーにはチェコのピルゼン地方が発祥の「ピルスナー」やドイツ南部の褐色の「デュンケル」、ドイツ語で「黒」を意味しドイツのバイエルン地方で造られる「シュバルツ」、アルコール度数を高めた「ボック」などがあります。
 常温で短い時間に発酵させたビールが「エール」で、発酵が進むと酵母が上面に層を作るため上面発酵ビールともいいます。香りが強く濃厚な味わいが特徴です。淡い色の麦芽を使った「ペールエール」や色の濃い麦芽で造る「ブラウンエール」、焙煎(ばいせん)した麦芽を使う「ダークエール」などがあります。
 このほか、原料の違いで麦芽100%とコーンスターチなどの副原料を使用したもの、変質を防ぐために熱処理を加えたものと加えないドラフトビールにも分けられます。ドラフトビールは日本では「生ビール」と呼ばれています。
2020年8月3日掲載