ビジュアル・ニュース解説

民泊について知る

2016.4.4 掲載
民間の住宅の空き部屋に旅行者らを有料で泊める民泊が、訪日外国人客の増加によるホテル不足への対策や新たなビジネスとして注目されています。国内では法律上の位置付けがあいまいなまま広がっており、政府は活用のためのルール作りを急いでいます。今回は民泊とは何かや、国内で脚光を浴びている背景、普及の経緯、関連する制度の見直しについて解説します。

2.法的に曖昧なまま利用が先行(1)

2.法的に曖昧なまま利用が先行(1)
 日本では宿泊施設の不足を解消する有力な手段として注目されています。15年の訪日外国人客数は前年比47%増の1973万人となり過去最高を更新したため、東京や大阪などの大都市ではホテルなどの宿泊施設の不足が深刻です。観光庁の調査によると、15年の国内の客室稼働率はシティーホテルが79.9%、ビジネスホテルは75.1%といずれも過去最高となりました。20年の東京五輪開催を控え、都内を中心にホテルの新築・増築ラッシュが続いていますが、訪日客の宿泊需要の急拡大を吸収できるほどには客室は増えないとみられます。みずほ総合研究所の試算によると、20年に全国で1万室、都内では4000室以上不足する見込みです。ホテル業界は08年のリーマン・ショックの際、過剰投資が重荷になったことを教訓に追加投資には慎重です。そのため、伸び続ける宿泊需要の受け皿として民泊への期待が高まっているのです。
2016年4月4日掲載