ビジュアル・ニュース解説

民泊について知る

2016.4.4 掲載
民間の住宅の空き部屋に旅行者らを有料で泊める民泊が、訪日外国人客の増加によるホテル不足への対策や新たなビジネスとして注目されています。国内では法律上の位置付けがあいまいなまま広がっており、政府は活用のためのルール作りを急いでいます。今回は民泊とは何かや、国内で脚光を浴びている背景、普及の経緯、関連する制度の見直しについて解説します。

4.政府は2段階を踏んで全国で解禁する方針

4.政府は2段階を踏んで全国で解禁する方針
 政府は民泊の安心・安全な利用と市場活性化のためのルール作りを進めています。地域限定で規制を緩和する国家戦略特区に14年、滞在7日以上などの条件を満たせば旅館業法の適用除外として民泊を認める制度を導入しました。この特例を活用し、大阪府で15年10月に民泊を認定する条例が全国で初めて成立。羽田空港がある東京都大田区も同年12月に条例を制定し、16年1月から事業者の募集を始めています。
 さらに、政府は民泊を全国で段階的に解禁する方針を固めました。第1段階として、旅館業法を管轄する厚生労働省が16年4月1日に政省令を改正し、住宅をカプセルホテルなどと同じ「簡易宿所」と位置付け、自治体が営業を許可する仕組みを導入。旅館業法で営業を禁じている延べ床面積33平方メートル未満の物件でも民泊の対象とする特例を設け、ワンルームマンションなどでも営業ができるようにします。第2段階では管理業者の登録制度を導入し、トラブルへの対応を義務付けるなど一定の規制をかけるとともに、住宅地でのサービスや短期の宿泊を認める法整備を検討し17年の通常国会への法案提出を目指します。
 今後の規制緩和をにらみ、すでに大手企業の参入が活発化しています。京王電鉄は15年に仲介サイトの運営会社に出資、グループで管理するマンションなどの有効活用を狙います。大京は16年度に進出し、戦略特区で民泊を認める東京都大田区を中心にサービスを展開する計画です。
 民泊が本格普及すれば経済効果は10兆円台との試算もあります。ルールの整備で旅行者の利便性が向上すれば、日本経済の活性化が期待できます。
2016年4月4日掲載