ビジュアル・ニュース解説

格安航空会社の最新事情を知る

2015.9.21 掲載
2012年に就航した国内の格安航空会社(LCC)が新たな局面を迎えています。15年4月に成田空港に専用ターミナルが開業し、LCC普及を促す動きとして注目されています。安さを武器にこれまで飛行機を利用していなかった人たちの需要掘り起こしに成功し、着実に利用者を伸ばしてきました。その一方で、パイロットの不足や効率と安全性の両立など、課題も浮かび上がっています。今回はLCCが登場した背景や、安い運賃を実現する仕組み、国内のLCCの最新動向などについて解説します。

2.サービス簡素化や運用の工夫で安い運賃を実現

2.サービス簡素化や運用の工夫で安い運賃を実現
 LCCが格安でサービスを提供できるのは、大手航空会社と違う独特のビジネスモデルを採用しているためです。
 その1つはサービスの簡素化です。LCCの多くは食事や飲み物の提供が有料で、ヘッドホンや耳栓などが備えられていないことも珍しくありません。航空券もインターネットを通じた直接販売が基本です。このほか、航空機の運用にも工夫を凝らしています。使用する機種の統一による整備コストの抑制や着陸料が安い空港の利用、少ない機材で短距離の直行便を中心に運航などです。こうした徹底したコスト削減と効率化によって安い運賃を実現しています。
 ただ、航空会社にとって最も大切なことはサービスの充実や運賃の安さではなく、安全の確保です。LCCは大手航空会社と同じ厳しい安全基準を満たしていますが、航空機の運用効率を重視するあまり、保守・点検時間にしわ寄せがきたり、コストの抑制でパイロットや整備士の育成・管理が手薄になったりする恐れがあるなどとして、安全性を不安視する声もあります。
2015年9月21日掲載