2000年代後半から日本にも海外のLCCが相次ぎ進出しました。07年にオーストラリアのジェットスター航空が、08年にはフィリピンのセブパシフィック航空がそれぞれ関西国際空港(関空)に就航。10年には中国の春秋航空が茨城空港で定期チャーター便の運航を始めました。
12年には、3月に全日本空輸などが出資する国内初のLCCであるピーチ・アビエーションが就航したのに続き、7月には日本航空が出資するジェットスター・ジャパンが、8月には全日空がマレーシアのLCCであるエアアジアと共同出資で設立したエアアジア・ジャパン(現バニラ・エア)が運航を始めました。国内でLCC参入が相次いだ12年は「LCC元年」と呼ばれました。14年に中国系の春秋航空日本が成田を拠点に運航を始め、国内のLCCは現在4社となっています。
国内LCC各社は大手航空会社の半額程度の運賃で、飛行機を利用していなかった若者層などの開拓に成功。12年(3~12月)に約2.1%だった国内線シェアは13年(通年)には約5.8%、14年(1~11月)には約7.5%と順調に拡大しています。06年をピークに減少傾向にあった国内線の航空旅客数も、LCCの参入が相次いだ12年に増加に転じています。
受け入れ施設の整備も進んでいます。成田空港に15年4月、LCC専用の第3旅客ターミナルが開業しました。乗客が運賃に上乗せして支払う使用料を国際線で既存のターミナルより約4割、国内線は15%程度安くしたほか、国内空港で最大級のフードコートを設け、横になって仮眠できるベンチを用意するなど、航空会社と利用者双方の使い勝手に配慮しています。関空は6月にLCCの国際線専用第3ターミナルの建設に着手し、17年3月の開業を目指しているほか、中部国際空港もLCC向けターミナルビルの建設を再検討しています。