ビジュアル・ニュース解説

格安航空会社の最新事情を知る

2015.9.21 掲載
2012年に就航した国内の格安航空会社(LCC)が新たな局面を迎えています。15年4月に成田空港に専用ターミナルが開業し、LCC普及を促す動きとして注目されています。安さを武器にこれまで飛行機を利用していなかった人たちの需要掘り起こしに成功し、着実に利用者を伸ばしてきました。その一方で、パイロットの不足や効率と安全性の両立など、課題も浮かび上がっています。今回はLCCが登場した背景や、安い運賃を実現する仕組み、国内のLCCの最新動向などについて解説します。

1.航空自由化の世界的な広がりで急速に台頭

1.航空自由化の世界的な広がりで急速に台頭
 LCC(Low Cost Carrier)は運営の効率化によって大手航空会社より割安な運賃でサービスを提供する航空会社のことです。1990年代以降、米国や欧州で設立が相次ぎ、2000年代に入るとアジアでも急増しました。国土交通省によると、LCCの旅客シェアは今や北米で30%、西欧は38%に達し、東南アジアでは58%にも及びます(13年、国際線と国内線の座席キロ=座席数と輸送距離をかけた数値=ベース)。
 LCCの台頭を後押ししたのが、1970年代後半から始まった世界的な航空自由化です。米国では78年以降、国内線への新規参入の規制が撤廃されたほか、航空会社が路線や運賃を自由に決められるようになりました。これに続き、93年の欧州連合(EU)の発足に伴い、欧州で規制の緩和・撤廃が進みました。近年は日本を含むアジアにも自由化が広がっています。運賃を自由に設定できるようになり、新規参入しやすくなったことでLCCは急速に増えました。アジアでは、経済成長に伴う航空需要の急拡大もLCCの台頭に拍車をかけています。
2015年9月21日掲載