ビジュアル・ニュース解説

LEDってどんなもの? 青色LEDで何ができるの?

2014.11.3 掲載
青色発光ダイオード(LED)の発明と実用化への貢献により、日本の3氏が2014年のノーベル物理学賞を受賞しました。青色LEDの実用化によって光の3原色がそろったことであらゆる色が出せるようになりました。LEDは省電力・長寿命で素子そのものが光る特長から、照明やテレビ、携帯端末の画面のバックライトなどに広く使われています。今回はノーベル賞受賞であらためて注目を集めるLEDに関する基礎知識、青色LED開発の経緯、関連業界の動向などについて解説します。

2. 21世紀を照らすLED照明

2. 21世紀を照らすLED照明
 青色LEDはさまざまな製品に利用され、私たちの生活をより便利で快適にしました。
 その代表分野が照明です。光の3原色がそろったことで自然光に近い白色光を出せる白色LEDが実用化され、LEDによる照明ができるようになりました。LED照明の寿命は約4万~6万時間で通常の使用なら10年以上もち、電球型の白熱灯に比べて20~30倍、蛍光灯の3~5倍長持ちします。消費電力は白熱灯の約6分の1、蛍光灯の半分です。LED照明に切り替えれば電気代の節約につながるのはもちろん、温暖化対策にもなります。
 東芝ライテックが2007年に市販の住宅照明用としてLED電球を投入。09年には60ワットの明るさで、価格が4000円を切る電球型LED照明が発売されて普及期を迎えました。品ぞろえは大幅に増え、国内LED照明最大手のパナソニックが14年6月、白っぽい光と暖かみのある光を自在に切り替えられる電球を売り出すなど性能も向上しています。現在は国内の照明器具出荷全体の約6割をLED照明が占めるまでになり、業界団体は20年までに全てをLEDに転換することを目標に掲げています。
 一般住宅用の照明だけでなく、信号機やトンネル灯、街路灯などのインフラ設備でもLED照明への転換が進んでいます。街路灯で国内シェア3割を占める岩崎電気は14年3月期に約140億円規模のLED照明事業の売り上げを、2年後には250億円規模まで成長させる計画です。熱を発せずにさまざまな光を作り出せるLED照明の特長を生かし、人工栽培の植物工場などでも使われ始めています。
2014年11月3日掲載